建設業許可は自分で申請できる?行政書士に依頼するメリット・デメリットを比較
建設業許可は事業者様ご自身でも申請できます。ただし、要件確認や証明資料の整理には注意が必要です。自分で進める場合と行政書士へ依頼する場合の違いを、費用・時間・手続き後の維持まで含めて整理します。
建設業許可は自分で申請できる
行政書士の内倉厚です。福生市、あきる野市、羽村市、青梅市をはじめとする西多摩地域で、建設業者様の許可手続を支援しています。
建設業許可を取得しようとするとき、「自分で申請した方が費用を抑えられるのではないか」「行政書士に依頼すると、どこまで任せられるのか」と迷われる事業者様もいらっしゃると思います。
結論から申し上げると、建設業許可は、要件を満たして必要な書類を整えれば、事業者様ご自身で申請できます。行政書士への依頼が法律上の必須条件ではありません。
一方で、建設業許可では、単に申請書の空欄を埋めるだけでなく、経営経験や技術者資格、財産的基礎、社会保険への加入状況などを確認し、それを資料によって証明する必要があります。
そのため、自分で申請する方法と行政書士に依頼する方法のどちらが適しているかは、費用だけでなく、準備に使える時間や証明資料の状況も含めて判断することが大切です。
申請前に確認したい基本の流れ
建設業許可の申請は、申請者本人や法人の担当者が行うこともできます。したがって、「行政書士に依頼しなければ許可を取得できない」という制度ではありません。
ただし、「自分で申請できること」と「簡単に申請できること」は、必ずしも同じではありません。建設業許可では、申請者の状況によって必要書類が異なります。
請け負う工事の金額や内容から、建設業許可が必要かを確認します。軽微な建設工事だけを請け負う場合は、建設業法上の許可は不要です。
「建設業許可は500万円以上で必要?「500万円の壁」を税込・材料費込みでわかりやすく解説」についてはこちら
都道府県知事許可と国土交通大臣許可、一般建設業許可と特定建設業許可、土木工事業や建築工事業など29業種を確認します。
「建設業許可は29業種|どの業種で申請するかを工事内容別に解説」についてはこちら
経営管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、社会保険、欠格要件などを確認します。
「建設業許可申請でつまずきやすいポイント|事前準備が大切な理由」についてはこちら
履歴事項全部証明書、定款、納税証明書、保険関係資料、資格者証、契約書、注文書、請求書、確定申告書などを状況に応じて準備します。
許可行政庁が定める様式に従って申請書を作成し、確認資料とともに提出します。
東京都知事許可では、申請書類の受付後の標準処理期間が25日とされています。これは土曜日、日曜日、祝日などの閉庁日を除いた日数であり、申請準備にかかる期間は含まれません。
自分で建設業許可を申請するメリット
行政書士への報酬を抑えられる
自分で申請する大きなメリットは、行政書士への報酬が発生しないことです。ただし、許可行政庁へ納める費用は、自分で申請しても必要です。
新規申請の場合、国土交通大臣許可では登録免許税15万円、都道府県知事許可では許可手数料9万円が必要です。更新や同一許可区分内の業種追加については、原則として5万円です。
建設業許可制度への理解が深まる
自分で手引を読み、必要書類を確認しながら申請することで、建設業許可制度への理解が深まります。許可を取得した後には、決算変更届、変更届、5年ごとの更新申請などがあります。
自社の経歴や資料を整理する機会になる
許可申請の準備では、これまでの役員経歴、事業経歴、工事実績、保険加入状況などを確認します。過去の契約書の保管状況や、変更登記・届出の漏れを見直す機会にもなります。
自分で申請する場合の注意点
要件を満たしているかの判断が難しいことがある
特に、複数の会社や個人事業での経営経験を合算する場合、過去の役員経験を証明する場合、資格ではなく実務経験で営業所技術者等の要件を証明する場合、取得する建設業の業種を判断する場合は注意が必要です。
「経験があること」と「申請で経験を証明できること」は分けて考える必要があります。
書類の収集と整理に時間がかかることがある
建設業許可の申請では、法務局、税務署、都税事務所などから書類を取得する場合があります。過去の工事経験を証明するときには、自社で保管している契約書、注文書、請求書、通帳などを確認することもあります。
補正への対応が必要になる場合がある
補正とは、提出した書類の記載や添付資料について、行政庁から修正や追加を求められることです。補正があること自体は、直ちに申請が不許可になることを意味しませんが、許可までの期間が延びることがあります。
本業との両立を考える必要がある
現場管理、見積り、取引先との打合せ、人員調整などは、事業を続けるために欠かせない業務です。申請準備のために本業へ影響が出るようであれば、自分で手続を行うことによって失われる時間も考える必要があります。
行政書士に依頼するメリット
要件と証明方法を整理しやすい
行政書士へ依頼する場合は、まず事業者様の経歴、資格、営業所、財務状況などを確認し、どの要件をどの資料で証明するかを整理します。法人役員としての経験、個人事業主としての経験、複数の事業者での経験などによって、確認する資料が変わることがあります。
書類作成や行政庁との連絡を任せられる
依頼する業務の範囲にもよりますが、行政書士には、申請書の作成、必要書類の案内、提出手続、補正対応などを依頼できます。ただし、事業者様本人にしか取得できない資料や、本人による内容確認が必要な書類もあります。
本業に充てる時間を確保しやすい
手引の確認、申請書の作成、資料の並べ替え、行政庁への確認などを任せることにより、事業者様が申請準備に費やす時間を減らせる可能性があります。
許可取得後の手続も相談できる
建設業許可は、取得した後も適切に維持する必要があります。決算変更届、変更届、5年ごとの更新申請、業種追加申請などまで継続して相談できることは、行政書士へ依頼するメリットの一つです。
行政書士に依頼する場合の注意点
行政書士報酬が必要になる
行政書士に依頼すると、行政庁へ納める手数料とは別に、行政書士報酬が必要です。報酬額は、経営経験や実務経験の証明が必要か、複数の営業所があるか、書類の取得をどこまで依頼するかなどによって変わります。
資料提供や事実確認は必要になる
行政書士は、依頼者様から提供された事実と資料をもとに申請書を作成します。過去の勤務先、役員期間、工事内容、請負金額などについて、事業者様に確認や資料提供をお願いすることがあります。
許可取得を保証することはできない
建設業許可を行うかどうかを最終的に判断するのは、許可行政庁です。行政書士は、要件を確認し、適切な申請書を作成して手続を支援しますが、必ず許可が取れる、審査が早くなる、と保証することはできません。
選び方の目安
自分で申請する方法を検討しやすいケース
- 申請準備に使える時間がある
- 法令や行政庁の手引を読むことに抵抗がない
- 必要な資格や経営経験が明確である
- 過去の契約書や確定申告書などが整理されている
- 行政書士報酬を抑えることを優先したい
行政書士への相談を検討しやすいケース
- 現場や経営が忙しく、申請準備の時間を確保しにくい
- 経営経験を複数の会社や個人事業の期間で証明する
- 実務経験によって営業所技術者等の要件を証明する
- 過去の契約書や請求書が十分に整理されていない
- 取得すべき建設業の業種が分からない
- 一般建設業と特定建設業の判断に迷っている
- 許可取得後の届出や更新も継続して相談したい
取引先から期限を示されている場合には、特に早めの確認が必要です。申請準備に必要な期間と、行政庁での審査期間は別であるため、申請を提出してから準備不足に気づいても、希望する時期に間に合わない可能性があります。
迷ったときは要件確認から始める
自分で申請するか、行政書士に依頼するかを決める前に、まず確認したいのは、「現時点で許可要件を満たしているか」「その要件をどの資料で証明できるか」という2点です。
申請書を作り始めてから、経営経験や技術者要件を証明できないことが分かると、それまでの準備が無駄になる可能性があります。
「申請を依頼するかどうか」より先に、「許可取得の見通し」を確認することが大切です。
全部を依頼するか、自分で行うかの二択とは限りません。行政書士事務所によっては、申請手続の一式依頼だけでなく、申請前の要件確認や資料整理について相談できる場合があります。
私が大切にしたいこと
私は、行政書士への依頼がすべての事業者様にとって必ず最善だとは考えていません。時間に余裕があり、制度を理解しながらご自身で申請したい方にとっては、自分で取り組むことにも十分な意義があります。
一方で、「現場が忙しく、書類を調べる時間がない」「古い経営経験や工事経験をどう証明すればよいか分からない」「必要な業種を間違えずに申請したい」という場合には、行政書士を利用することで、手続への不安や負担を減らせる可能性があります。
39年間の行政経験を通じて感じてきたのは、行政手続では、結論だけでなく、なぜその資料が必要なのか、どこが判断のポイントなのかを分かりやすく説明することが大切だということです。
私は、申請書を作成するだけでなく、取得する許可の内容、許可後に必要な手続、注意していただきたい点についても、できる限り分かりやすくお伝えしたいと考えています。
まとめ
建設業許可は、事業者様ご自身で申請することができます。自分で申請する方法には、行政書士報酬を抑えられ、制度への理解が深まるというメリットがあります。
一方で、経営経験の証明が複雑である、実務経験による証明が必要である、過去の資料が十分に整理されていない、取得する業種や許可区分に迷っている、という場合には、書類準備や要件判断に時間がかかる可能性があります。
行政書士へ依頼する場合には報酬がかかりますが、要件整理、申請書作成、提出手続、補正対応などを任せることで、本業に充てる時間を確保しやすくなります。
内倉厚行政書士事務所では、福生市、あきる野市、羽村市、青梅市、西多摩地域周辺の建設業者様が、安心して本業に取り組めるよう、建設業許可を中心とした行政手続を丁寧に支援してまいります。
※建設業許可の必要書類や行政庁の運用は、申請内容や申請時期によって異なる場合があります。実際に申請する際は、最新の法令、手引および許可行政庁の案内をご確認ください。
許認可手続きでお困りの方へ
建設業許可を自分で申請できるか判断がつかない場合や、経営経験・実務経験をどの資料で証明すればよいか分からない場合は、早い段階でご相談ください。事業者様のお話を伺い、制度上可能な方法を一緒に整理いたします。

