福生市・あきる野市・羽村市など西多摩地域の建設業許可実務ブログ
建設業許可の失効・取消しを防ぐには|更新・変更届・許可要件の維持を解説
建設業許可は取得したら終わりではありません。更新期限、決算変更届、変更届、許可要件の維持を日常的に管理することが、失効や取消しを防ぐ基本です。
行政書士の内倉厚です。
福生市・あきる野市・羽村市・青梅市をはじめ、西多摩地域周辺の建設業者様を対象に、建設業許可を中心とした手続きの支援を行っています。
建設業許可は、一度取得すれば、そのまま何年でも使い続けられるものではありません。
許可には5年間の有効期間があり、引き続き建設業を営むためには更新申請が必要です。また、許可を取得した後も、毎年の決算変更届や、役員・営業所・営業所技術者等に変更があった場合の届出を適切に行わなければなりません。
- 更新期限を確実に管理する
- 決算変更届を毎年提出する
- 会社や営業所に変更があったら早めに確認する
- 常勤役員等や営業所技術者等の要件を継続して満たす
- 無許可営業や虚偽申請などの法令違反をしない
この記事では、建設業許可の失効や取消しを防ぐために、事業者様が知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
建設業許可の失効と取消しは異なります
建設業許可の「失効」と「取消し」は、同じものではありません。
建設業許可の有効期間は5年間です。更新を受けなければ、有効期間の満了によって許可の効力が失われます。これが、一般に「許可の失効」と呼ばれるものです。
一方の「取消し」は、欠格要件に該当した場合、許可要件を満たさなくなった場合、不正な手段で許可を受けた場合、営業停止処分に違反した場合などに、許可行政庁が行う行政処分です。
したがって、許可要件を満たさなくなった瞬間に、当然に許可が自動消滅するという整理ではありません。
建設業許可の更新忘れを防ぐ
建設業許可の有効期間
建設業許可の有効期間は、許可を受けた日から5年間です。正確には、許可日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了します。満了日が日曜日や祝日などの行政庁の休日であっても、その日をもって満了するため注意が必要です。
引き続き建設業を営む場合は、有効期間が満了する日の30日前までに更新申請を行う必要があります。更新申請が受け付けられた後に有効期間が満了した場合は、更新の処分がされるまで、従前の許可が有効なものとして取り扱われます。
一方、更新申請をしないまま満了日を迎えると、それまでの許可は失効します。失効後に再び許可を取得する場合は、原則として新規許可申請が必要です。
更新準備で確認したいこと
法律上の申請期限は満了日の30日前までですが、実際には余裕を持って準備を始めることが大切です。
- 毎年の決算変更届が提出されているか
- 役員や代表者の変更届が提出されているか
- 営業所の所在地や使用状況に変更がないか
- 常勤役員等が引き続き常勤しているか
- 営業所技術者等が引き続き常勤しているか
- 健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況に変更がないか
- 欠格要件に該当する事情が生じていないか
東京都では、更新申請に先立ち、期限が到来している決算変更届が提出されていることが必要です。未提出の変更届がある場合には、更新申請の前に整理しなければなりません。
有効期間満了日の直前になってから確認すると、過去の届出漏れや必要書類の不足が判明しても、対応する時間が足りなくなることがあります。満了日の3か月程度前を一つの目安として、許可の状況を確認し始めることをおすすめします。
「建設業許可の更新を忘れるとどうなる?有効期限・申請時期・準備を行政書士が解説」についてはこちら
決算変更届を毎年提出する
提出期限と主な書類
建設業許可を受けた事業者様は、毎事業年度終了後4か月以内に、決算変更届を提出する必要があります。東京都では「決算報告」と呼ばれることもありますが、一般には「決算変更届」や「事業年度終了届」と呼ばれている手続きです。
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表
- 事業報告書(株式会社の場合)
- 納税証明書
- 使用人数など、変更があった場合に提出する書類
必要書類は、法人・個人の別や許可行政庁によって異なるため、実際に提出する際は最新の手引を確認する必要があります。
決算変更届を出さない場合の影響
決算変更届を提出していないだけで、直ちに許可が自動的に取り消されるわけではありません。しかし、届出義務に違反している状態であることに変わりはありません。
また、東京都では、期限が到来している決算変更届が未提出の場合、更新申請、業種追加申請などを行うことができません。
決算変更届は、決算と税務申告が終わった後に提出する手続きです。税理士が税務申告を終えたからといって、建設業法上の届出まで自動的に完了するわけではありません。
「建設業許可取得後は毎年必要|決算変更届の期限・必要書類・未提出時の注意点」についてはこちら
会社や営業所の変更を適切に届け出る
建設業許可を取得した後、会社や営業所の状況に変更があった場合には、変更届が必要になることがあります。
東京都知事許可の場合、商号または名称、主たる営業所や従たる営業所の名称・所在地、営業所の新設または廃止、資本金額または出資総額、法人の役員等、個人事業主の氏名、支配人、建設業法施行令第3条に規定する使用人などは、原則として変更後30日以内に届け出ます。
- 常勤役員等の変更
- 常勤役員等を直接補佐する者の変更
- 営業所技術者等の変更
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人に関する一定の変更
- 健康保険等の加入状況に関する一定の変更
「常勤役員等」とは、建設業の経営経験などを備え、適切な経営体制を確保する役員等のことです。以前は「経営業務の管理責任者」という名称が一般的に使われていました。
「営業所技術者等」とは、営業所ごとに常勤し、許可を受ける業種に必要な資格や実務経験を備えた技術者です。以前の「専任技術者」に当たる制度上の名称です。
令和6年12月13日以降、法令や申請様式では「営業所技術者等」という名称が用いられています。届出期限は変更内容によって異なるため、人事異動、役員変更、営業所移転などを予定している場合は、変更を実施する前に確認しておくと安心です。
常勤役員等と営業所技術者等の要件を維持する
人的要件は許可取得後も必要
建設業許可の要件は、申請時だけ満たせばよいものではありません。許可を受けた後も、常勤役員等による適切な経営体制と、営業所技術者等の配置を継続する必要があります。
- 常勤役員等が退任または退職する
- 営業所技術者等が退職する
- 営業所技術者等が常勤できない勤務形態になる
- 営業所技術者等が別会社へ転職する
- 営業所を移転または廃止する
- 営業所技術者等が担当していた業種を変更する
後任者が許可要件を満たしており、前任者の退任等によって許可要件を欠く期間が生じないように配置したうえで、必要な変更届を行えば、許可を維持できます。一方、要件を満たす後任者を配置できない場合は、その者が担当していた許可業種を維持できなくなります。
退職後の猶予を前提にしない
営業所技術者等について、退職後に一定期間は不在でもよいという一般的な猶予制度があるわけではありません。退職日以降も許可要件を継続して満たすためには、原則として、要件を満たす後任者を適切に配置する必要があります。
「しばらく求人をしてから考えればよい」と判断すると、許可要件を欠いた状態で営業を続けることになりかねません。退職や人事異動の予定が分かった段階で、後任候補者の資格、実務経験、常勤性を早めに確認することが重要です。
一人だけに依存しない体制を考える
特に小規模な建設事業者様では、代表者や一人の技術者が複数の役割を担っていることがあります。法律上認められる兼任もありますが、その一人が退職、病気、世代交代などによって役割を担えなくなると、許可の維持に影響する可能性があります。
- 社内の資格保有者を把握する
- 資格取得を支援する
- 実務経験を確認できる資料を保存する
- 後継者の経営経験を計画的に積み上げる
- 退職や事業承継の前に許可要件を確認する
「建設業許可を取るための2大ハードル|経管と営業所技術者等を分かりやすく解説」についてはこちら
許可を受けていない業種の工事に注意する
建設業許可を持っていれば、すべての種類の建設工事を金額の制限なく請け負えるわけではありません。許可は29の建設工事の業種ごとに受ける制度です。
許可を受けていない業種については、原則として「軽微な建設工事」の範囲内でなければ請け負うことができません。
- 建築一式工事以外は、1件の請負代金が税込500万円未満の工事
- 建築一式工事は、税込1,500万円未満の工事
- 建築一式工事のうち、請負代金にかかわらず、延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
金額には、注文者から提供される材料の市場価格や運送費も含めて判断します。また、一つの工事を複数の契約に分けても、正当な理由がなければ、各契約の金額を合計して判断します。
追加工事によって契約金額が基準以上になる可能性がある場合も、追加契約を締結する前に、必要な許可を確認することが大切です。
一括下請負や虚偽申請を避ける
一括下請負を避ける
建設業法では、建設工事の一括下請負、いわゆる「丸投げ」が原則として禁止されています。一括下請負とは、請け負った工事の全部または主たる部分を、実質的に関与することなく他の建設業者へ請け負わせることです。
判断は、単に下請へ発注した金額の割合だけで行われるものではありません。元請として、施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導、発注者との協議、下請業者の調整などに実質的に関与しているかが確認されます。
虚偽申請や事実と異なる届出をしない
建設業許可申請や変更届において、虚偽の内容を記載した書類を提出してはいけません。
- 実際には常勤していない者を常勤役員等として届け出る
- 実際には常勤していない者を営業所技術者等として届け出る
- 経験していない経営経験や実務経験を記載する
- 他社に勤務している者を自社の常勤者として届け出る
- 建設業の営業実態がない場所を営業所として届け出る
- 工事実績や財務諸表を事実と異なる内容にする
許可要件を現時点で満たしていない場合には、事実と異なる申請をするのではなく、制度に沿った方法で準備することが、結果として事業者様を守ることにつながります。
許可取消しにつながる主なケース
建設業法では、一定の場合に許可行政庁が許可を取り消すことを定めています。代表的なものとして、次のようなケースがあります。
- 許可要件を満たさなくなった
- 欠格要件に該当することとなった
- 不正な手段で許可を受けた
- 営業停止処分に違反して営業した
- 許可を受けてから1年以内に営業を開始しない
- 引き続き1年以上営業を休止した
- 廃業等の届出が必要な状態となった
- 一定の法令違反により刑罰を受けた
ただし、法令違反があれば、すべて直ちに許可取消しになるわけではありません。違反内容に応じて、指示処分、営業停止処分、許可取消処分などが検討されます。
許可を守るための日常チェックリスト
建設業許可を維持するためには、問題が起きてから対応するのではなく、定期的に確認する仕組みを作ることが重要です。
- 許可の有効期間満了日を把握している
- 満了日の3か月前から確認を始める予定を立てている
- 決算変更届を毎年提出している
- 工事台帳や契約書を整理している
- 常勤役員等と営業所技術者等が引き続き常勤している
- 退職や人事異動の予定を把握している
- 役員変更、商号、資本金、所在地の変更を届け出ている
- 営業所としての使用実態が維持されている
- 工事内容に対応する許可業種を確認している
- 請負代金が軽微な工事の範囲内か確認している
- 材料費や追加工事を含めた金額を確認している
- 一括下請負と判断されない施工体制を整えている
毎月確認する必要がある項目と、決算時や人事異動時に確認すればよい項目を分けて、社内のチェック表にしておく方法も有効です。
変更が決まる前の相談が重要です
建設業許可に関する問題は、変更が終わった後よりも、変更を決める前に相談した方が対応しやすい場合があります。
- 営業所技術者等が退職する予定がある
- 代表者や役員を変更する予定がある
- 営業所を移転、統合または廃止する予定がある
- 個人事業から法人化する予定がある
- 事業承継や会社分割を予定している
- 新しい業種の工事を受注する予定がある
- これまでより大きな金額の工事を受注する予定がある
手続きの順番を誤ると、それまでの許可を引き継げなかったり、一時的に許可要件を満たさなくなったりする可能性があります。特に、営業所技術者等の退職、法人化、事業承継、営業所の移転については、実行前の確認が重要です。
私は、39年の行政経験を通じて、行政手続きでは、書類を提出することだけでなく、現在の状況を正確に整理し、制度上どのような対応が必要かを確認することが重要だと考えてきました。
福生市・あきる野市・羽村市・青梅市をはじめ、西多摩地域周辺の建設業者様が、手続きへの不安を減らし、本業に集中できるよう支援したいと考えています。
まとめ|建設業許可は取得後の管理が大切です
建設業許可を失効・取消しから守るために、特に重要なのは次の5点です。
- 有効期間満了日の30日前までに更新申請を行う
- 毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する
- 役員、営業所、常勤役員等、営業所技術者等の変更を適切に届け出る
- 許可要件を継続して満たしているか確認する
- 無許可営業、一括下請負、虚偽申請などを避ける
建設業許可は、取得した時点がゴールではありません。適切に維持することで、許可を必要とする工事を継続して受注し、取引先からの信頼を積み重ねていくための基盤となります。
内倉厚行政書士事務所では、建設業許可の更新、決算変更届、各種変更届、業種追加などについて、現在の状況を丁寧に確認したうえで対応方法をご案内します。
許認可手続きでお困りの方へ
建設業許可の更新、決算変更届、各種変更届、業種追加などで不安がある場合は、早めに現在の状況を整理することが大切です。福生市・あきる野市・羽村市・青梅市をはじめ、西多摩地域周辺の建設業者様からのご相談を承ります。
この記事は一般的な制度の説明です。届出期限、必要書類、行政庁の取扱いは、許可区分、法人形態、変更内容、提出時点の最新手引によって異なることがあります。実際の手続きでは、許可行政庁への確認が必要です。

