建設業許可を取るための5つの要件とは?行政書士が分かりやすく解説
建設業許可を取得するために確認される5つの要件について、証明資料の考え方や申請前に整理すべきポイントを分かりやすく解説します。
建設業許可を取得するためには、単に建設工事の経験が長いだけでは足りません。
結論からお伝えすると、主に次の5つの要件を満たす必要があります。
- 建設業の経営を適正に行う体制があること
- 営業所技術者等を営業所ごとに置くこと
- 請負契約に関して誠実性があること
- 財産的基礎または金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
国土交通省は、建設業法第7条に定める4つの許可要件を備え、さらに同法第8条の欠格要件に該当しないことが必要と説明しています。なお、適切な社会保険への加入も、現在は経営体制に関する要件の一部として確認されます。
以下では、初めて許可を検討する事業者様に多い一般建設業の要件を中心に説明します。特定建設業では、営業所技術者等と財産的基礎について、一般建設業より厳しい要件があります。
行政書士の内倉 厚です。
福生市・あきる野市・羽村市・青梅市をはじめ、西多摩地域周辺の建設業者様を対象に、建設業許可を中心とした手続きの支援を行っています。
この記事では、建設業許可を取るための5つの要件について、初めて申請を検討する方にも分かりやすく解説します。
建設業許可では「要件を満たすこと」と「証明できること」が必要です
建設業許可の申請で大切なのは、実際に要件を満たしていることだけではありません。
その事実を、許可行政庁が確認できる書類によって証明する必要があります。
例えば、常勤役員等について制度上必要な経営経験があったとしても、その期間と内容を確認できる書類が不足していると、申請上の証明が難しくなることがあります。
法人役員としての経験は、登記事項証明書などで役員期間を確認し、建設業を営んでいた事実は、当時の建設業許可通知書、工事請負契約書、注文書、請求書、入金記録などで確認します。個人事業主としての経験では、所得税の確定申告書なども重要な確認資料になります。
営業所技術者等についても同様です。資格で証明する場合は資格証明書、実務経験で証明する場合は、経験した工事の内容と期間に加え、その事業者に在籍していたことを確認できる資料も必要になります。
そのため、最初から申請書を書き始めるのではなく、まず「誰がどの要件を満たすのか」「どの書類で証明するのか」を整理することが重要です。
建設業の経営を適正に行う体制があること
1つ目は、建設業の経営業務を適正に管理できる体制があることです。
一般に「経管」と呼ばれることがありますが、現在の制度では、常勤役員等に一定の経営経験があること、または常勤役員等とその直接補佐者による一定の経営体制が整っていることを確認します。
代表的な要件の一つは、建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があることです。
法人の場合は、常勤役員等のうち少なくとも1人、個人事業主の場合は、本人または登記された支配人のうち少なくとも1人が要件を満たすことが基本となります。
ここでいう経営経験は、単なる現場作業や現場監督の経験とは異なります。
法人の役員、個人事業主、支配人、一定の営業所長などとして、建設業の経営業務を総合的に管理していた経験であることが必要です。
経営業務の管理責任者を補佐した経験を用いる場合も、資金調達、技術者等の配置、下請契約の締結など、建設業の経営業務全般に関わっていたことを資料で確認します。
また、常勤役員等本人の経験だけでは要件を満たせない場合でも、建設業に関する一定の役員経験等を持つ常勤役員等を置き、その直属の者として、申請法人における財務管理、労務管理及び業務運営について、それぞれ5年以上の経験を持つ直接補佐者を配置する方法があります。
この方法では、常勤役員等と直接補佐者について確認する経験や資料が多くなるため、申請前に許可行政庁へ相談したうえで判断する必要があります。
さらに、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、加入義務のある営業所や事業所では、必要な届出を行っていることも許可要件に含まれます。
加入義務のない場合まで加入を求められるわけではありませんが、自社が適用事業所に該当するかを確認する必要があります。
人的要件については、建設業許可を取るための2大ハードルを解説した記事でも詳しく説明しています。
営業所技術者等を営業所ごとに置くこと
2つ目は、建設業を営む営業所ごとに、その営業所で営業する許可業種に対応する営業所技術者等を置くことです。
営業所技術者等とは、許可を受けたい建設業種について、一定の資格または実務経験を持ち、営業所で技術面を担当する人をいいます。
旧制度では「専任技術者」と呼ばれていたため、現在でも「専任技術者」や「専技」と呼ばれることがあります。
営業所技術者等は、原則として、その営業所に常勤し、専らその職務に従事する必要があります。
一般建設業では、許可業種に対応する国家資格、指定学科の卒業と所定の実務経験、許可業種に関する10年以上の実務経験など、複数の確認方法があります。
また、一定の施工管理技術検定合格者については、学歴と実務経験を組み合わせる方法もあります。
必要な資格や経験年数は、申請業種、資格の種類、学歴、一般建設業・特定建設業の区分によって異なります。
資格を持っていれば、どの業種でも営業所技術者等になれるわけではありません。
例えば、内装仕上工事業を申請する場合には、内装仕上工事業に対応する資格または実務経験が必要です。建設業許可は29業種に分かれているため、取得したい業種と資格・経験が一致しているかを確認しなければなりません。
同一の営業所に常勤し、それぞれの要件を満たして職務を適切に行える場合は、常勤役員等と営業所技術者等を同じ人が兼ねることもできます。
小規模な会社や個人事業では、代表者本人が両方を満たすケースも考えられます。ただし、それぞれ別の要件であるため、経営経験と技術資格・実務経験を分けて確認する必要があります。
東京都では、2026年7月1日から、常勤役員等及び営業所技術者等の常勤性確認資料の取扱いが変更されています。申請時には、東京都が公表する最新の手引、確認資料一覧及び取扱い変更のお知らせを確認してください。
申請する業種の選び方については、建設業許可29業種を工事内容別に解説した記事も併せてご確認ください。
請負契約に関して誠実性があること
3つ目は、請負契約について不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことです。
不正な行為とは、請負契約の締結や履行に際して行われる詐欺、脅迫、横領など、法律に違反する行為をいいます。
不誠実な行為とは、工事内容、工期、契約金額、天災などによる損害負担について、契約に違反する行為などをいいます。
多くの申請では誓約書等によって確認されますが、過去の行政処分、請負契約をめぐる重大な違反、関連業法に基づく免許取消処分などがある場合は、処分内容と時期を個別に確認する必要があります。
例えば、建築士法や宅地建物取引業法などに基づき、不正または不誠実な行為を理由として免許取消処分を受け、その最終処分から5年を経過していない場合には、原則として誠実性の要件を満たさないものとして取り扱われることがあります。
法人の場合は、法人そのものだけでなく、役員等や一定の使用人も確認の対象になります。
財産的基礎または金銭的信用があること
4つ目は、請け負った建設工事を適切に施工できるだけの財産的基礎または金銭的信用があることです。
一般建設業の場合は、原則として次のいずれかを満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上ある
- 500万円以上の資金調達能力がある
- 許可を受けて直前5年間継続して営業した実績がある
建設業許可を初めて申請する場合は、過去5年間許可を受けて継続営業した実績を利用できないため、通常は自己資本または資金調達能力によって確認します。
東京都では、直前の決算で自己資本が500万円未満の場合、500万円以上の資金調達能力を、申請者名義の預金残高証明書または金融機関の融資証明書で確認します。
証明日は申請受付日から1か月以内である必要があり、複数の金融機関の証明を合算する場合は、証明日を同一日にそろえます。法人申請では、原則として法人名義の証明が必要です。
「資本金が500万円あれば必ず大丈夫」とは限りません。
法人の自己資本は、直前の確定した貸借対照表に記載された純資産合計で判断されます。資本金が500万円でも、赤字などによって純資産が500万円を下回っている場合には、預金残高証明書など別の方法を検討することがあります。
個人事業主の場合は、確定申告書の貸借対照表等に基づき、法人とは異なる方法で自己資本を確認します。
なお、特定建設業では、原則として、次のすべてを満たす必要があります。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上であること
- 自己資本が4,000万円以上であること
一般建設業よりも厳しい財産要件となるため、直前の決算内容を詳しく確認する必要があります。
欠格要件に該当しないこと
5つ目は、建設業法で定められた欠格要件に該当しないことです。
欠格要件とは、一定の事情がある場合に、建設業許可を受けることができないとする基準です。
主な例として、次のようなものがあります。
- 破産手続開始の決定を受け、復権していない
- 不正な手段で許可を受けたことなどにより許可を取り消され、一定期間を経過していない
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行終了等から5年を経過していない
- 建設業法その他の一定の法令違反等により罰金刑に処せられ、刑の執行終了等から5年を経過していない
- 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない
- 暴力団員等が事業活動を支配している
- 申請書類に重要な虚偽記載や重要な事実の記載漏れがある
罰金刑のすべてが欠格要件になるわけではありません。
罪名、刑の種類、刑の確定日、執行終了日、執行猶予の有無などによって判断が異なるため、心当たりがある場合には、申請前に正確な内容を確認することが大切です。
法人の場合は、法人だけでなく、役員等や一定の営業所の責任者も確認対象となります。個人事業主の場合も、本人だけでなく、支配人などが対象になることがあります。
法人の「役員等」には、取締役や業務執行社員などだけでなく、一定の相談役、顧問、5%以上の議決権を持つ個人株主などが含まれる場合があります。
建設業許可の要件以外に営業所の実体も確認されます
建設業許可の新規申請では、5つの要件に加えて、建設業を営む営業所としての実体があることも確認されます。
具体的には、営業所を使用する権原があるか、他の会社や居住部分と適切に区分されているか、建設工事の請負契約を締結できる体制があるかなどです。
自宅の一部や他社と同じ建物内に営業所を設ける場合は、独立性や実際の使用状況について、事前に確認しておく必要があります。
建設業許可の要件を確認する順番
建設業許可を検討するときは、次の順番で確認すると状況を整理しやすくなります。
- 取得したい許可業種を決める
- 常勤役員等の候補者を確認する
- 営業所技術者等の候補者を確認する
- 経験や資格を証明する書類を探す
- 決算書、預金残高、社会保険加入状況を確認する
- 役員等の欠格要件を確認する
特に時間がかかりやすいのは、経営経験と実務経験の証明です。
過去の会社が廃業している、確定申告書が残っていない、注文書と入金記録の対応が分からないといった事情があると、資料の整理に時間がかかります。
許可が必要な工事を受注してから慌てて準備するのではなく、将来の受注予定が見えた段階で確認を始めることをおすすめします。
まとめ|建設業許可の要件は一つずつ書類で確認することが大切です
建設業許可を取得するためには、主に次の5つの要件を満たす必要があります。
- 建設業の経営を適正に行う体制があること
- 営業所技術者等を営業所ごとに置くこと
- 請負契約について誠実性があること
- 財産的基礎または金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
加えて、加入義務がある場合には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について適切な届出を行っている必要があります。
建設業許可では、「要件に当てはまりそうか」だけでなく、「その事実をどの書類で証明できるか」が重要です。
私は39年間の行政実務で培った経験を活かし、法令や行政庁の取扱いを確認しながら、申請者様の状況と証明資料を一つずつ丁寧に整理することを大切にしています。
福生市・あきる野市・羽村市・青梅市をはじめ、西多摩地域周辺で建設業許可をご検討の方は、早めに現在の経歴、資格、決算内容、保管書類を確認しておくことをおすすめします。
この記事は、建設業許可制度の一般的な内容を説明したものです。実際に必要となる書類や証明方法は、申請者の法人形態、経歴、許可業種、一般建設業・特定建設業の区分、申請時点の行政庁の取扱いによって異なります。
申請の際は、東京都の最新の手引に加え、手引発行後に公表された取扱い変更のお知らせも確認する必要があります。
許認可手続きでお困りの方へ
建設業許可の新規申請、更新、業種追加、決算変更届などで、要件確認や証明資料の整理に不安がある場合は、早めに状況を確認しておくことが大切です。福生市・あきる野市・羽村市・青梅市など西多摩地域周辺の事業者様は、内倉厚行政書士事務所へご相談ください。

